離婚にまつわる共有不動産のトラブルについて

離婚を考え始めた時、どなたでも「一刻も早く離婚して、新たな人生を歩みたい」と考えれるかと思います。もちろん、新たな人生を歩みだすのは早いに越したことはないと思いますが、離婚をする前に、決めておくべきことはしっかりと決めておかないと、後々大変なトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。

夫婦で住宅ローンを組んでご自宅を購入するとき、夫が主債務者で妻が連帯保証人、あるいは、夫婦がそれぞれローンを組む「ペアローン」とされている方が多くいらっしゃいます。このような場合、夫婦がそれぞれ土地・建物の持分を有する形態となることがほとんどです。よくある割合は、夫が10分の9、妻が10分の1の持分を所有するというものです。ペアローンのそれぞれの割合により夫が10分の6、妻が10分の4といったケースもございます。

夫婦が円満であるうちはこのような共有持分割合が問題となることはありませんので、金融機関の融資担当やハウスメーカーの営業の方が「最近は夫婦で持分を持つことも多いですよ」なんて営業しているケースも実際に耳にするところです。

1 共有不動産の問題点

夫婦の共有不動産の一番大きな問題点は、夫婦でその不動産の処分を決めなければならないことです。どちらか一方の意思で決めることはできません。

たとえば、共有となっている自宅土地建物を売却しようとしても、単独で決めることはできず、他方の同意が必要です。

実務上多いケースは、夫が住宅ローンの主債務者となっていて早期に売却をしたいが、共有持分を有している妻と子が自宅で生活をしているため、妻が売却に応じてくれず、自宅を売却することができないというケースです。

このように、離婚の話となった場合共有名義の不動産は非常に厄介です。

2 共有不動産の処理方法

それでは共有不動産の問題はどのように解決していけばいいのでしょうか。

2-1 不動産の売却

共有不動産を売却することはとてもメリットの多い方法です。

しかし、新潟県内においていえば、新潟市内の物件であれば比較的売却が容易であることも多いですが、少し地方にいってしまうと購入希望者がおらず、簡単に売却ができないという問題があります。

また、上記でも説明をしましたが、実際に片方の配偶者が自宅での居住を希望した場合、簡単に売却することはできません。

さらに、かりに不動産を売却できる見込みがたったとしても、売買代金のみで住宅ローンの残債務を全額返済できない場合には、ローンを解消するために現金の持ち出しが必要となります。この余剰がない場合には、現実問題として共有不動産を売却することは困難です。

2-2 共有物分割請求

2-2-1 共有物分割請求とは

共有物分割請求は、共有状態の解消を求める人が、強制的に共有状態を解消を実現させることができる手続きす。話し合いでの解決ができない場合には、裁判所に「共有物分割請求訴訟」を申し立てることができます。

この共有物分割請求の中で、売却を希望する場合には、他の共有者への売却したり、共同で売却をしたり、競売をするという方法によって、売却することが可能です。

他の共有者からの買取りを希望する場合は、一定の要件を満たすのを条件に強制的に持分を買い取ることが可能です。

このような共有物分割手続きをとることで、住宅ローンの問題を解消することもできる場合もございます。

2-2-2 共有物分割請求と財産分与の関係

離婚成立から2年以内であれば財産分与を請求することができます。協議でも調停の申立てでも可能です。妻が頭金のみを負担したという理由で持分割合が低くなっている(例えば10分の1場合を想定すると、かりに財産分与で家が実質的な夫婦財産と認められれば、夫と妻がそれぞれ2分の1ずつの共有するという割合に変更するように命じられる可能性があります。

そのため、共有物分割請求を行う前に、財産分与を行った上で共有名義の共有不動産と住宅ローンの解消をするという方法が考えられます。

ただし、離婚から2年を経過すると財産分与請求権が時効により消滅してしまいます。このような場合は、現在の持分を前提として共有名義の共有不動産の解消を目指すことになります。

3 まとめ

共有物分割請求においては、共有トラブルに詳しい弁護士に相談することで、スムーズな問題解決を実現することができるようになります。離婚を契機とした共有不動産のトラブルでお悩みの方は、まずは共有問題に詳しい弁護士に一度ご相談されることをお勧め致します。