面会交流

面会交流とは?お子さんとの面会方法をどのように決めたらよいか解説します。

別居または離婚後、子どもと離れて暮らすことになった父又は母(「非監護者」や「非監護親」といいます。この記事では「非監護者」といいます。)が、子どもと会って遊んだり、食事に行ったり、電話等で話をする等の交流を「面会交流」といいます。

民法という法律でも、離婚するときにお子さんとの交流について定めると決められています。この場合も「子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」とされています。

面会交流は何をすればいいの?

「面会交流」というと、何か特別なことをしなければいけないように思われますが、内容は様々です。例えば、ショッピングモールで会うという場合もありますし、一緒に食事に行ったり、公園等の公共施設で会うという方法もあります。お子さんの年齢や意向、交通の便等地域の事情によって、決めることが多いように思います。

非監護者の家や実家での面会交流は、離婚や別居前からこのような面会方法が実施されていて、お子さんのみならず、父母ともに抵抗がない場合は実施する場合はありますが、一般的な方法とは言い難いでしょう。

また、宿泊についても、父母の関係性やお子さんと非監護者との関係性にもよりますから、必ず実施できる(審判になったときに裁判所が必ず認める)というものではありません。

面会交流の頻度は?

面会交流の頻度も当事者間で自由に設定できます。月1回にしたり、月2~3回にすることもあります。毎週となると、お子さんの年齢にもよりますが、面会の設定が手間になったり、学校や習い事の行事等も事情から、実施が難しい場合もあります。無理のない範囲で実施することが重要です。

面会交流は応じなければいけないのでしょうか?

「離婚した夫(または妻)が子どもと会いたいと言ってくるのですが、私は会わせたくありません」というご相談をいただくことがあります。

基本的には、面会交流はお子さんの権利ですから、実際にお子さんを監護している親御さん(「監護親」「監護者」といいます。この記事では「監護者」といいます。)の意向にかかわらず、会わせるべきではあります。

お子さんの年齢にもよりますが、お子さんの意向を尊重しつつ、父母とでお互いが納得できる方法で実施することが望ましいでしょう。

後でもご説明しますが、当事者間で話し合いがまとまらない場合は、調停や審判という家庭裁判所の手続きを利用することができます。

しかし、以下のような場合には、お子さんと生活していない親から面会交流の求めがあったとしても、裁判所が面会交流を認めないことがありえます。

≪面会交流が認められない場合≫

①子どもの意見

面会交流はお子さんの権利であり、お子さんの利益を最優先に判断しなければなりません。したがって、お子さんがある程度分別のつく年齢であり、お子さんが本心として他方の親に会いたくない、面会をしなくないということであれば、それを強制させることはできず、面会交流が認められない場合があります。

お子さんの意思をどのように確認をするのかというと、面会交流や親権等が争われる場合は、家庭裁判所調査官が、お子さんと面談などして、直接、お子さんの意向を確認することがあります。お子さんが「会いたくない」「面会交流はしなくない」と言っている場合であっても、それがどのような理由からなのか、どのような背景事情があるのか、監護している親の不当な干渉がないか等慎重に判断された上で、裁判所に対して意見が出されます。

②子どもの成長や生活に悪影響がある場合

非監護者がお子さんに対して暴言を言ったり、言動がしつけの範囲を超えたり、暴力をふるったり、また、離婚や別居の背景事情から、面会交流によってお子さんの精神面が不安定になったり、成長に悪影響がある場合には、面会交流が認められない場合があります。

③非監護者が薬物やアルコール等の依存症がある場合

非監護者が薬物やアルコール依存等が見られる場合は、正常な判断が期待できず、お子さんの生命や身体に危害がありえますから、面会交流が認められない場合があります。

④非監護者による連れ去りのリスクがあるとき

非監護者がお子さんを連れ去るリスクがあるような場合には、面会交流が認められない場合があります。

過去に連れ去ろうとしたことがあったり、あるいは、実際に連れ去ったことがある(「連れ去った」と評価できない場合であっても、監護者との生活環境から離脱させるような行動をとる等も含みます)場合には、面会交流が認められない場合があります。

面会交流はどうやって取り決めるの?

非監護者と監護者とで話し合って取り決めます。

面会交流を実施するかどうか、その方法をどのようにするのか、公園等に行く場合は何時から何時までにするのか、お子さんの送迎は誰がするのか、緊急時の連絡をどのようにするか、待ち合わせ場所をどこにするか等を決めておくと、トラブルが発生する可能性を減らすことができます。

また、面会交流の内容を決めたら、合意書などの書面にまとめるか、公証人役場で公正証書を作成することをお勧めします。

当事者間で取り決めができない場合は、面会交流の調停や審判を家庭裁判所に申し立てることができます。

調停では、調停委員を介して話し合いをすることができます。また、審判を申し立てた場合は、裁判所に決めてもらうことができます(もっとも、いきなり審判を申し立てても、まず調停で話し合うよう促されるでしょう。)

申立先は、調停の場合には、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、審判の場合には、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所です。当事者で合意した裁判所に申し立てることもできます。

面会交流の調停、審判ではどのようなことが行われるの?

調停では、調停委員を介して、監護者と非監護者の意向を確認しながら、面会交流の実施をした方が望ましいのかどうか、実施する場合にどのような方法で行っていくのか、段階的に実施していくのかどうかなどを話し合っていきます。

監護者が強く面会交流を拒否するような場合は、お子さんの意向を確認するため、調査官による調査が実施されたり、試験的な面会交流が実施されることもあります。なお、お子さんが15歳以上の場合はそのお子さんの意見を聞き取らなければならないとされていますが、実務上、15歳という明確な区切りをするわけではなく、お子さんの意向を慎重に判断している傾向にあります。

調査官は、心理学や教育学等の専門的知識を有する専門家で、面会交流については、子どもの面会交流についての意思等を調査します。

面会交流はいつからできるの?

離婚が成立していなくとも、別居している、あるいはお子さんと会えない状況であれば、面会を求めることはできます。

調停や審判の申立ても、離婚が成立する前に面会交流の調停や審判を申立てすることができます。

子どもに会っていない(会わせてくれない)のに、養育費は払わなければいけないの?

たしかに、監護者が面会交流を拒否していて、非監護者がお子さんと会うことができない場合、非監護者としては養育費を支払いたくないという気持ちになることは理解できないわけではありません。同じように、非監護者が養育費を払わない場合、監護者としてはお子さんを非監護者に会わせたくないという気持ちになることも理解できます。

しかし、面会交流と養育費は別個のものです。「養育費が支払われないから、面会交流はさせない」、あるいは、「面会交流させてもらえないのであれば、養育費は支払わない」ということは、正当な理由にはなりません。

面会交流はいつ取り決めた方がいいの?

面会交流は、法律で義務付けられているわけではありませんが、離婚や別居するときに取り決めることが望ましいです。

後から、面会交流の話をしようとしても、離婚や別居から時間が経っていると、お子さんとしても非監護者との面会の心情になりにくかったり、トラブルが生じやすいためです。空白の時間を作らず、適切な親子関係を築くためには、離婚や別居時に取り決めることがよいでしょう。

面会交流を決めるときに注意することは?

面会交流は子どものためのもののものであるということを両親が意識することです。離婚は夫婦が感情的に対立して生じやすいですが、お子さんには何も罪はありません。それにもかかわらず、親の意向が優先させてお子さんの意向がないがしろになってしまうケースが多々あります。子供にとって、親の離婚は大きな出来事であり、精神的にもショックを受けています。お子さんはこれを何とか乗り越えようと努力しています。お子さんが健全に育っていくためにはどのようにすればいいのかという観点から、非監護者・監護者ともに自分の感情に基づいて話すのではなく、冷静に話し合ってほしいと思っています。

適切な面会交流はお子さんにとって良い影響があります。お子さんは、面会交流を通じて、両親からの愛を感じ、安心感や自信、自己肯定感の確立につながります。

お悩みの方は弁護士にご相談を

面会交流はお子さんの成長や将来に大きな影響を与える可能性があります。検討すべき課題が多い問題です。

当事務所の弁護士は数多くの夫婦の離婚を解決してきました。面会交流についても多くのノウハウを持っていますから、まずは当事務所にお気軽にご相談ください。