この記事では、銀行員の夫を持つ妻の離婚について弁護士が解説します。
目次
銀行員の夫との離婚原因について
夫が銀行員の場合、どのような離婚原因があるかについて解説します。
仕事が忙しい
部署にもよりますが、一般的に銀行員は忙しいです。日々の業務も当然のことながら、法人営業の担当となれば、お客様とのお付き合いがありますから、年末年始には忘新年会、法人顧客の親睦会の懇親会や旅行、週末にはお客様や上司とのゴルフなど、仕事を優先しなければならない事情がたくさんあります。個人向けの商品を扱っている担当者も、お客様のご自宅を訪問して営業をしたり、休みの日に住宅ローン相談会を担当したり、ノルマある中で多忙な日々を送っています。銀行では日々お金のやり取りをしているため、伝票の金額と実際に動いたお金の金額とが合致するかどうかを閉店後に勘定を合わせますが、何らかのエラーにより1円でも合わない場合は、金額が合うまで帰れません。近年ではコンピューター化によりこのような事態は減っていると聞きますが、お客様のお金を扱うという責任の重い業務であるため、何らかの問題が起こった場合は迅速に対応をしなければならないことは変わりありません。
このように、仕事が忙しくなることで、家庭の時間をとれなくなり、夫婦関係が悪化し、そのまま離婚に至ってしまうケースがあります。
転勤・単身赴任がある
銀行員は転勤が多い業種の一つです。一般的には2~3年程度で異動になることが多いです。これは同じ店舗に長く勤務することで、当地の企業や個人との関係が強くなり、癒着を招いてしまうことを防止するためと言われています。新潟県内の金融機関であっても市町村を問わず県内各地に異動になったり、場合によっては県外の支店に異動したりすることもあります。ご自宅を購入されている方は引っ越しが容易でなくなりますから、銀行員である夫のみが単身赴任というケースもあります。このような単身赴任をきっかけに夫婦関係がすれ違いになり、結果的に破綻に至るケースもあります。
不倫のリスク
これは銀行員に限った話ではありませんが、人と接する機会が多い職種の場合は社内、取引先等親交を深める機会が多いため、不倫に発展してしまうリスクが高まります。特に銀行員は社会的地位からくる信用もありますし、収入も安定していますから、人気が高いと言えます。このような不倫がきっかけで離婚に至るケースもあります。
性格の不一致・価値観の相違
これはどの夫婦にも当てはまりますが、長年一緒に生活していく中で、徐々に性格や価値観にずれが生じ、一緒に生活することが双方にとってストレスとなり、離婚にいたるケースがあります。特に銀行員の場合、出世等を考えて家庭の時間を犠牲にしてしまうことがあり、そのことがすれ違いを生じさせる場合があります。
銀行員の配偶者と離婚するときのポイント
①養育費を確実に確保すること
一般的に銀行員は収入が高いという印象がありますが、実際にも初任給は増加し続け、また、メガバンクは連続でベースアップを行うなど、銀行員の待遇は良くなっていることが報道されています。日本経済新聞によれば、新潟の第1地銀である第四北越フィナンシャルグループの平均年収は11,971,000円とされておりメガバンクや他の大手地銀と比較しても恵まれた収入水準であることがわかります。
養育費の算定にあたって、安易に妥協せず、源泉徴収票をもとに適切な養育費の金額を算定することが肝要です。
②財産分与のため確実に財産を特定すること
銀行員は貯蓄をきちんとされている方が多いです。婚姻期間中に築いた資産は財産分与の対象になりますから、以下のような財産はきちんと確保しましょう。
預貯金
勤め先の金融機関の口座は確実に保有しています。
それ以外の金融機関の口座も持っていることが大半ですので、お住まいの地域やこれまで住んだことのある地域に店舗のある金融機関を調べて、全ての口座をチェックしましょう。インターネットバンキングを使用している場合もありますから、日々のお金のやりくりの中で使っていると思われる口座はリストアップしましょう。
退職金
金融機関は退職金の制度があることが一般的です。東京都の「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」によれば、金融業・保険業の定年で支給される退職金額は1442万円とされており、他の業種に比べて高い金額が設定されていることがわかります。
離婚が定年の前か後かで金額は変わりますが、離婚協議において、勤務先の退職金規程等から試算をし、婚姻期間に相当する金額を把握する必要があります。
職場の積立・財形貯蓄、保険
金融機関は職場の制度で何らかの積立を行っている場合があります。在家貯蓄とは、毎月の給与から一定の金額が天引きされ、自動で積み立てる貯蓄をいいます。給与明細から毎月天引きされている項目がないかをチェックしましょう。積み立てではなく、保険料として支払っているケースもあります。
有価証券(株式、有価証券など)
銀行員は金融商品取引法により投機的利益の追求を目的として有価証券の売買その他の取引等を行うことが禁止されていますが、投資信託等は認められています。そのため、証券口座を保有しているかどうか、証券会社から定期的に送られてくる取引報告書、取引残高報告書等を確認しましょう。現在ではインターネットバンクを保有している場合もありますので、その場合は夫(妻)に取引履歴等を提示するよう求めましょう。
企業年金
企業年金を掛けている場合もあります。企業年金も財産分与の対象になりますから、どのような年金を掛けているのかをきちんと確認しましょう。
弁護士にご相談ください
以上のように、銀行員の夫を持つ妻にとって、離婚するにあたり検討しなければならない事項が多くあります。ご自身だけでやるのは、かなり負担であり、ストレスになります。弁護士に相談をするだけで気が軽くなると思いますから、お気軽にお問合せください。